トワル・ド・ジュイとは?
Toile de Jouy=トワル・ド・ジュイって何?って思われている方や、
なんとなく聞いたことあるけど詳しくは知らない、といった方のために、
トワルドジュイについてお話しますね。
簡単に知りたいという方は、こちら↓へ
「トワルドジュイの楽しみ方・選び方」ページ
★現代のトワルドジュイ
トワルドジュイとは、
200年以上にも渡って多くの人々を魅了し続けているフランスの伝統的なデザイン・生地のことで、
現代では、18世紀頃の人物・風景、神話、天使(時に花などの植物柄)がモチーフになった
主に2色使いのデザインの布や柄のことをいいます。
18世紀フランスのロココ調絵画を思わせるようなデザインが多いのも特徴の一つです。
このような布です↓
トワルドジュイという名前を知らなくても、
「こんな柄、どこかで見かけたことある~」、という方も多いのではないでしょうか?
日本では、特にカルトナージュの世界で知られていますね。
インテリアにこだわる人が多く、 毎月多数のインテリア雑誌が出版されるインテリア大国フランスでは、
カントリー調、ロマンティック調、トラディショナル調などの
インテリアには欠かせないデザインで、 毎月いくつかの雑誌に、必ずと言っていいほど登場します。
世界で見てみると、発祥地のフランスはもちろん、 欧米を中心に多くのファンやコレクターがいます。
英語では「toile = トワル、トワレ」と省略して言うことも多いようです。
インテリアファブリックや壁紙の欧米のメーカーがコレクションの一部として出していますが、
現代に出回っているトワルドジュイのデザインの多くは、
18世紀当時のデザインを真似たり、アレンジしたりしたものがほとんどで、
美術館などで貯蔵されている当時のオリジナルデザインから版をおこして
作られているものは少なく、稀少です。
オリジナルデザインから版をおこして作られている復刻版トワルドジュイ生地↓
また、布や壁紙だけでなく、 トワルドジュイのデザインが施された製品も多く存在し、
洋服、下着、バッグなど様々なブランドからも、このデザインをモチーフにしたコレクションが、
毎年のように発表されています。
フランスブランド「クリスチャン・ディオール Christian Dior」のトワルドジュイデザインネクタイ↓
フランス高級下着ブランド「オバードゥ Aubade」のトワルドジュイデザイン下着↓
フランスの香りの老舗ブランド「ロジェガレ Roger&Galet」が
創立150周年を記念して限定発売したトワルドジュイ柄ポーチセット↓
けれども、多種多様な製品やブランドで、期間限定で発売されることも多く、
常に情報収集をしていないと、見つけることが難しく、レアな商品が多いのも、
トワルドジュイ柄製品の特徴です。
★トワル・ド・ジュイの歴史
では、ここからは、歴史的に掘り下げていってみましょう。
トワルドジュイは18世紀に、フランスで生まれました。
さかのぼって17世紀、それまでのフランスでは見たことのないような
派手な織物=インド織りがフランスに入ってきました。
インド織りは、色糸での織物ではなく、印刷によってモチーフが得られる手法のため、
それまでのフランスの伝統的な布と区別されていました。
インド織りはたちまち人気になりましたが、 1686年国内の布製造業協会の圧力によって、
インド織りの輸入のみならず、製造と使用も禁止されてしまいました。
けれども、何回にも及ぶ禁令の改正は、流行には勝てず、全く効果がなく、
1759年に禁止は取り消され、これによって、木綿への印刷製法が発達していきました。
その頃、 インド織りが禁止されていなかったドイツで生まれ育った
クリストフ・フィリップ・オベルカンフは、
インド織り技術のノウハウをもってパリにやってきました。
彼はパリにやって来てまもなく、パリやヴェルサイユから数キロ程離れた
清流に近いジュイ・オン・ジョザスという村に製作所を作りました。
この製作所で作られる生地のモチーフの種類はとても多く、
模様化された花や植物、ひし形、円形、ストライプ etc...、そして、もちろん、人物の模様もありました。
人物の模様の中にも多くの種類があって、 有名な田園風景に加えて、
神話、文学、その時代の出来事に着想を得た生地も作られていました。
つまり、当時(18~19世紀にかけて)は、
このオベルカンフ製作所で作られた柄の綿織物全般を、トワル・ド・ジュイと呼んでいたのです。
当時も、トワルドジュイは服地と同じように、インテリア用生地としても使われていました。
そして、オベルカンフ製作所は、開かれて間もなく成功し、
ヴェルサイユ宮殿に製品を納めるようにまでなりました。
王族、貴族の御用達となったオベルカンフ製作所ですが、
かのフランス王妃、マリー・アントワネットも、
何度もこの製作所に直接足を運ぶほど、 トワルドジュイに魅了されていた一人だったのです。
19世紀に、この製作所は閉められ、
現在では、ジュイ・オン・ジョザスの町では布製造はされておりませんが、
製作所の跡地の一部分に、トワル・ド・ジュイ博物館が建っています。
<上記内容の参考文献>
Melanie RIFFEL & Sophie ROUART(2003)「La toile de Jouy」Citadelles & Mazenod社
★トワル・ド・ジュイ博物館(美術館)
Musee de Toile de Jouy ミュゼ・ドゥ・トワル・ド・ジュイ
(トワルドジュイ博物館建物外観)
この博物館には、当時作られていたドレス、壁布、ベッドカバーだけでなく、
見本アルバム、デッサンアルバム、布印刷に使っていた押し型等の道具などが展示され、
当時のトワルドジュイが再現されています。
また、この博物館には、フランス国内中で作られたトワルドジュイ製品を揃えたお店もあり、
エレガントで上品なトワルドジュイ製品を持ち帰ることもできます。
博物館はヴェルサイユ宮殿からも近く、
アメリカ・ヨーロッパからの観光客はもちろん、日本人観光客も訪れています。
トワルドジュイ博物館の場所⬇
Musée de la Toile de Jouy
Château de l’Églantine
54, rue Charles de Gaulle 78350 Jouy-en-Josas
2016年4月には、トワルドジュイ博物館内のお店とは別で、
ヴェルサイユ宮殿隣にトワルドジュイ製品を販売する博物館直営店もオープンしています。
トワル・ド・ジュイ博物館直営ショップの場所⬇
Inédite (直営店の名前)
La cour Senteurs
8, rue de la Chancellerie
781000 Versailles
ヴェルサイユ宮殿を正面にみて、左側の道。
ヴェルサイユ宮殿入り口前にある駐車場からちょっと下に下がった道で、
MAISON DES PARFUMSという建物があり、
その横にCOUR DES SENTEURSと書かれた入り口があるので、この入り口を入った中にあります。
COUR DES SENTEURSには、
香水などのブランド店や、ルノトール LENOTREのカフェもあります。
★トワルドジュイについて当店経営者:竹内彩子が思うこと
実は、私は、トワルドジュイに出会った最初の頃は、
トワルドジュイには全く興味がありませんでした。。。
フランスで専業主婦になってから、 自由な時間が増えたことで、もともと好きだった裁縫を再開。
布を買いに行くたびに、布屋さんでトワルドジュイを見かけました。
また、裁縫好きのフランス人女性のブログなどを見ていると、
度々、トワルドジュイで作った作品やトワルドジュイに関する記事を見かけるようになりました。
そうしていくうちに、トワルドジュイに興味を持ち始め、 いつの間にか引き込まれていっていたのです。
私は、布の柄って絵画や写真と同じだな~と考えています。
何が同じかというと、 絵画にしろ写真にしろ、風景画は確かに美しい。
けれど、ずっと見ていると飽きが出てくるものが多いのですよね。
一方、人物が入ったものは、見飽きない。
なぜなら、その人物を通して、その絵や写真の経緯・物語が想像できるし、動きが出てくるから。
見れば見るほど、味がでてくる。
私は、以前は、人物が入ったものより、断然、風景画や風景写真が好きでした。
けれど、絵画関係の仕事に就いて、日々さまざまな絵画に触れていくうちに、
人物が入った絵画の魅力を上記のように見出しました。
トワルドジュイ(の人物柄)も同様。 それぞれのデザインに物語がある。
そのデザインを描いた人が、実際に想像していた物語とは違ったとしても、
見る人使う人によって、それぞれの物語が出来上がるのです。
こういうところが、トワルドジュイ柄の魅力を一層引き出していると私は思います。
当店のお客様の中には、私と同じく、
「最初は全くトワルドジュイに興味がなかったのに、いつの間にか引き込まれ、好きになっていました。」
と言われる方が多くいらっしゃいます。
もちろん、最初見たときから素敵だと思いました!と言われる方も多くいらっしゃいます。
当店のお客様の多くが、フランスが好きな方なので、
トワルドジュイには、フランス好きの人を、いつの間にか魅了してしまう不思議な魔力があるのではないか?
と思うようになっています。
一人でも多くの日本の皆さまが、トワルドジュイの魅力に気づき、
トワルドジュイファンが増えたら、うれしいですね!
トワルドジュイに興味を持ったけど、どうやって選べば良いかわからない・・・
そんな方は、こちらのページを参考にされてみてくださいね↓